寺田浩子(てらだ ひろこ)
☆2023年12月18日『ピピハノン』をドレミ楽譜出版社より出版
自宅レッスン、ヤマハ音楽教室システム講師として長年音楽指導に携わる。
小学校・中学校音楽教員資格、ヤマハ学習者グレード試験官。
ヤマハ新講師指導スタッフ経験あり。
千葉大学教育学部音楽科卒業
大学時代に講義、実技、合唱サークルなどで、音楽について深く学ぶ。
指揮者、作曲家、声楽家、ピアニスト、…たくさんの出会いがあり、大きな影響を受ける。

 

私は三人姉弟の真ん中で、姉と弟がいます。
「A型の長女」と思われる事が多いのですが、「O型の次女」です(笑)
姉のレッスンの影響で始めるようになったピアノが大好きでした。

楽譜を読んで自分で押さえた鍵盤から、聴いたことのある目指した音が鳴って、どんどん音楽が生まれてくるのは、何とも言えない満足感がありました。
レッスンに行って次の曲に挑戦することが楽しみで、レッスンの翌日にはひと通り弾けるまで練習していました。弾けてしまうと次のレッスンが待ち遠しく、「1週間に2回レッスンがあればいいのになぁ」と思っていました。

子供と接する仕事をしたくて教育学部へ

大学は教育学部に進学しました。
子供と関わる事が好きで、子供について学びたかったからです。

教育学、教育心理、発達心理学などの講義の他、
音楽科の先生方に音楽の講義、実技を通して音楽を支える様々な領域の指導をしていただきました。
実技はもちろんひとりづつ、講義は音楽科の少数の学生だけが多く、緊張との連続です。練習時間もたっぷり必要でした。

そして、大学のサークルで『合唱団』に入ったことが音楽を更に深く学ぶことにつながりました。
指導してくださる学外の先生が本当に素晴らしく、合唱曲を通して、音楽の奥深さを具体的にわかりやすく、指導してくださいました。
全体の音楽からひとつの音の表現の仕方、音楽の雑学⁉︎まで、毎回の合唱の練習が私にとってはワクワクした音楽の講義のようでした。
グレゴリオ聖歌から現代曲に至るまで、本当にたくさんの音楽の中に身を置く事ができました。

目指していた「音楽を通して子供たちと関わる仕事」

卒業後、ヤマハ音楽教室の講師として音楽指導をしていく事にしました。
「音楽を通して子供たちと関わる仕事」に就きたいという夢が叶ったのです!

ところが、当然初めは上手くいきません。
広い年齢層の子供たちの実態がつかめず、それまでの音楽経験が何の役にも立たないと感じるほど、無力でした。
「子供が好き、音楽が好き」
だけでは指導にはならないと思い知らされました。

≪子供たちの関心を惹く≫これがレッスンの基本だと痛感しました。
子供たちとしっかりしたコミュニケーションを取れなければ、”笛吹けども踊らず”です。

・一人ひとり違う子供たち、
・年齢によっても、その日の体調によっても違う子供たち

全て受け入れて私に惹きつけないと、成果は上がりません。
子供たちをしっかり見ることが出来るようになると、指導の成果が上がってきました。
指導が充実してくるとそれまでの音楽経験もどんどん生きてくるようになりました。

私のピアノの恩師が、
「僕があなたに伝えた音楽を、あなたが生徒さんに伝えてくれれば、私の音楽は広がって残っていく、、」
とおっしゃいました。
ハッとさせられたお言葉でした。

“私が受けてきたレッスンが生徒さんに伝わっていく”
ということは、
私の中の音楽に対する「姿勢」「積み重ねた経験の質と量」は重要で、受講した先生方の音楽がその中にしっかりと入っていなければならないのです。

音楽は、教える(教授)というより、伝える(指導)の側面が大きいと言われます。
だから、いつも生徒さんの音に耳を傾けて、表情をよく見て、どんな音や言葉をかけていったら良いか探りながら、真剣にレッスンをしています。

また、ヤマハでは指導スタッフとして、新講師さんの研修、レッスン見学指導を行う仕事の機会もいただきました。
研修前の会議では、いつもの何倍も勉強し、音楽を聴き続け、研究していっても、まだまだ足りず、
恥をかき、大恥もかき、、、そして刺激をたくさんいただきました。
小さな自分の考え、経験にあぐらをかいていては、成長はないです。
憧れの先輩、信頼できる仲間との出会いは、全て宝物です。

長年の講師活動で得たものをMusic Room~pipi~のレッスンに生かしています!

ご両親とのコミュニケーションは大切なんです!

仕事以外の経験(結婚、育児、介護、、、)を通して、様々な立場の人の考え方、生き方などを学ぶことも出来ました。
中でも育児はたくさんの事を私に教えてくれました。

親はみんな「初めての子育て」をしています。
2番目の子供でも、3番目の子供でも、多少育児に慣れてきたとしても、
「初めて」の出来事のように、子供は一人ひとり違います。

かけがえのない可愛い子供も、
◦ 熱を出しやすかったり、
◦ 小食だったり、
◦ お友達と積極的に関われなかったり、、
◦ 飽きっぽかったり、、
と、少しづつ心配の種を抱えるようになる時もあります。

そして、昨今のように共働きのご家庭が多くなると、
子供と接する時に余裕のなさを感じている保護者の方も少なくありません。

どんな世の中であっても、 
『子供にとって、少しでも良い環境を、良い出会いを、良い影響を、、』
『子供が、意気揚々と 前向きに取り組めるものを、、』
 と願う親の気持ちは変わらないと思います。

私は、生徒さんの年齢に関係なく、
「子供に関わる音楽指導」をする時、子供だけでなく、ご両親の想い、ご両親のご意向を理解することも大切にしています。なるべくお話したり、連絡を取るようにしています。

忙しいママさんたちに、
「ピアノは信頼して通わせている」
と思っていただき、
家に子供の弾くピアノの音が流れる幸せを感じてもらいたいのです。

また、ピアノは、レッスンで得たものを家で練習を重ねる事で力が定着していくので、
それが指導に大きく影響してくるのです。

子供の可愛さ

レッスンをしている時、私の気持ちと生徒さんとの気持ちは、グッと近づいています。

≪一生懸命に音を出そうとしている≫
その姿だけでなく

≪真似をしようと目を凝らしている表情!≫
≪わかっているのにうまく弾けない時の内なる戦いの気持ち!≫
≪弾けたときの満足感!≫
≪ほめられたときの誇らしい気持ち!≫
……

そんな見えない気持ちがビンビン伝わってきて、何とも言えず可愛いのです。
「姿」というより「存在そのもの」が可愛くてたまりません。。

最後に

生まれて来た子供はみんな天使!
透明な心を持っています。

何を見ても、聴いても、触っても、食べても、初めて!
広がっていく世界への無垢な反応を大人に見せてくれます。

素直な純粋な表情!
なんて可愛い!

日々の積み重ねで
小さな柔らかい体は次第にしっかりと大きくなり、
透明な心に生きる力が育っていきます。

子供たちが力強く成長して行く時、
適度な日光、水、肥料を与えて行くのが大人です。
甘やかしすぎてもいけないでしょう。

<良い加減>は難しい
みんな初めての、でも、大事な子育て!

私は自分が多くの方々から育ててもらったものを、可愛い子供たちに伝えていきたい、
レッスンから帰った時に、少しづつ成長していく生徒さんをご両親に感じていただきたいと思っています。